ネチのブログ

更新頻度は年一くらい

生命のフリーズ

10年くらい前に書いた日記をブログの引っ越し方々再掲する。

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兵庫県立美術館でやっているムンク展に行ってきた。

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理屈っぽく芸術鑑賞をするのが好きじゃないので全く予習なし。
ムンクの絵画をしっかりと目の前で鑑賞するのは初めてだったのだが、思っていたよりもずっと人間くさい作品を描いた画家だったのに驚いた。
もっとエキセントリックで人の感情移入を拒むような絵画を残しているものと思っていた。

特に「生命のフリーズ」という作品群は印象的だった。
ムンクって絶対恋愛で苦労したんだろうな...。と感じずにはいられない作品の数々。
夏の夜が不思議な光を帯びて感じられるほどの、恋の始まりの高揚感。そして、相手に振り回され、精気を吸い取られ、捨てられ、心に深手を負う、ムンク
途中から、絵に出てくる男性がムンクにしか見えない。
というか、絶対にムンクだろ。
絵から彼の慟哭が聞えるようだ。
この「生命のフリーズ」はずっと彼のアトリエに置かれ、どう並べて展示すべきかを、ムンクによって生涯模索され続けたらしい。
他の作品群が注文を受けて大学の講堂や食堂に飾られるために描かれたのに対し、「生命のフリーズ」は青春の渦中で、描かずにはいられなかった作品だったのかな、と感じた。


展示場のすぐ外にある、お決まりのグッズ売り場で展示作品の絵葉書を買うのが好きだ。
普段は保存用にしか購入しないのだが、今回は長期入院している祖母に送ろうと思い売り場を見ると、
男女の性愛、不安、絶望。。。。で埋め尽くされている売り場。
ムンクの代表作をグッズ化すればおのずとそうなるのだろうが、病床の祖母に送るのには植木の次に不適切なように思われた。
結局、唯一明るい色を用いていたマイナーな風景画をチョイス。
細かい字だと読めないかも、と思い大きな字で短いメッセージを書くと、バカっぽいビジュアルになった。
喜んでくれるだろうか...。

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20歳くらいの時に書いた日記だ。

当時は大阪に下宿している貧しい学生だったので、神戸まで行くのはずいぶん遠出に感じられたと記憶している。

祖母はその後回復することなく翌年亡くなった。私がミャンマーに居る時の事だった。

当時日本とミャンマーは精神的にずいぶん離れた場所で、家族は私を気遣って、葬儀が一通り落ち着いた後に訃報を伝えた。だからなんとなく亡くなった実感がないままだ。

今でもたまにふと「おばあちゃん元気かな」などと思う時がある。