ネチのブログ

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2020年に観たお気に入りインド映画3作

忘備のためにも、駆け込みで締めくくりの記事を書いておこう。

 

第1位『Street Dancer 3D』

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旬の役者を揃えたお気楽ダンスバトル映画かと思いきや、印パ問題、移民のアイデンティティ、そして不法移民と社会的なイシューを盛り込んだ上で、ド派手な娯楽映画に仕上がっている。観たいもん、全部観せたる!という作り手のサービス精神が最高な一作。

『Street Dancer 3D』ではシュラッダー・カプールが威勢よく人情深い、味のある理想的なリーダーを好演。小柄で可憐な女優さんで『きっと、またあえる』や『Stree』では美しく皆んなが憧れるマドンナ役がハマっていたが、私はこの作品の役が1番好き。バキバキにアイラインを引いた目で煽ってくる姿が凛々しく格好良かった。

もう1人の主演であるヴァルン・ダワンはお気楽青年の前半に苦悩する後半と、やや魅力に欠けるキャラクター。でもヴァルンは「最初調子いいんだけど、自分の力だと思ってたものが、自覚せず優遇されてただけだという事に気付いて懊悩する役」がすごく良い。

お育ちもよく容姿にも恵まれてるのに、ああいう役をバチッとできるのは次世代のスターだな、と思う。マッチョだけではなく助演もできるのがスターだと思うのよ。

 

第2位『WAR ウォー!!』

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ボリウッドが誇るアクションスター2人を主人公にした、とにかくド派手な作品。

ボリウッド的ハイコンテクストなサービスシーンもあるので日本でウケるか?と心配していたが、とにかく派手さと俳優の顔の良さの2点突破で日本にカチコミをかけてきた。

これは何度も呟いたが、大スターで憧れの先輩であるリティクを立てる形にまわったタイガー・シュロフが、キャリアベストの怪演を見せたのが本作の最大の見所だ。

タイガーはダンスもアクションも今や同世代ナンバーワンを超えたボリウッドオンリーワンの存在感を放ちつつある。しかし一方で役柄がワンパターンになりがちで、演技もちょっと大味な所が弱点のように見えていた。

憧れの大スターとの共演で新たな扉が開かれたような気がするので、もっと色んな役をやって欲しいなと思う。

 

第3位『LUDO〜4つの物語〜』

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終わらない運ゲーとして有名な(?)ボードゲームをモチーフにしたブラックコメディ。

SEX動画が流出した新婦とその元セフレ、出所したゴロツキと家出少女、うだつの上がらないサラリーマンと看護師、チンピラと子持ちのマドンナの物語が、大金を入れたトランクとギャングの親玉を巡って交差する。

地味かと思って期待していなかったのだが、「こういうシーンが観たくて映画を観てるんだよね〜!」という良いシーンが怒涛のように溢れてくる痛快作。良い映画シーンの福袋状態。

ブラックコメディとされているが、ホロリとした人情話もあり、登場人物全員がマヌケでゆるい笑いが絶えない。

キャラクター一人一人がちゃんと個性と人間性を持って描かれるので「どこかで観た映画のツギハギ」にならず、どうなっちゃうの〜!?とドキドキしながら見守った。

どの出演者も独特の存在感をもって好演しており、『ダンガル』の女優2人が全然違う雰囲気で出てるのはびっくりした。

 

総括

今年は人生で十指に入る作品!というのには出会えなかった。韓国ドラマ『愛の不時着』にどハマりしてから、インド映画以外の作品も積極的に観るようになったので、観た作品も例年より少ないかも。

来年はもっと映画館で映画観れたらいいな〜。映画は映画館で観るのが1番いい、と強く感じた1年だった。

来年も「明日を今日より良いものにしてやる」というインド映画の熱に期待したい。

それでは良いお年を。